僕、扶養になっているけど、株譲渡益や配当金で扶養が外れたりしない?
この記事では、こんなお悩みを解決します。
まずは結論!
よって、健康保険も心配なし!
とは言え、株譲渡益や配当金を申告した方が「お得」な場合もあります。
ただし、条件がいろいろとあるので、この記事をよく読んで十分注意して申告してね。
- 株譲渡益や配当金収入があっても扶養が外れない理由
- 扶養要件
- 株売却益・配当金の計算方法
- 扶養を外れても得な場合
この記事を書いている人 -WRITER-

りん:FP(元税理士事務所勤務)
税金や社会保険などのわかりづらい内容を、できるだけわかりやすく説明しています。その他、アラフォーからチャレンジしているブログ運営や、ペットについても発信しています。
- 株譲渡益や配当金収入があっても扶養が外れない理由
- 【注意】この記事を読むにあたって注意すること
- 【重要】3つの扶養要件を確認する
- 株譲渡益・配当金を申告するとお得な人は?|その算出方法は?
- まとめ:株譲渡益も配当金も確定申告すればお金が戻ってくることもある!でも細心の注意が必要!
株譲渡益や配当金収入があっても扶養が外れない理由
株譲渡益や配当金収入は、証券会社の「特定口座(源泉徴収あり)」で取引すれば、例え、1000万円の収入があっても扶養が外れることはありません。
理由は、「特定口座(源泉徴収あり)」は、取引の際、すでに所得税と住民税を証券会社が計算し、税務署に納付してくれているかです。(これを「源泉徴収」といいます。)
なので、皆さんは、申告して再度、税金計算する必要はありません。
そしてこの「特定口座(源泉徴収あり)」は扶養の判定には加味されないことから、株譲渡益や配当金収入があっても扶養が外れることはありません。(税金も健康保険も同様の扱い)
とは言え、
- 前年以前の譲渡損を相殺するため
- 引ききれない所得控除と相殺するため
に申告した方が有利な場合があります。
その際は、たとえ「特定口座(源泉徴収あり)」でも、確定申告することはできます。
ただし、その際は、くれぐれも扶養要件やその他の手当に注意して下さい。
【注意】この記事を読むにあたって注意すること
ここで、どうしてもこの先の記事をを読むにあたって、注意していただきたいことがあるので、まずはその確認からしていきたいと思います。
この記事を読むにあたって心がけてほしいこと
扶養になっていらっしゃる方にはいろいろな方がいらっしゃると思います。
例えば、専業主婦の方はもちろん、パートなどお仕事を持ちながら働いている方、子育て中の方、病気療養中の方も扶養になられている方がいらっしゃいます。
性別も男女あったり、年齢も20代~90代まであります。
ちょっと例をあげただけで、こんなにいらっしゃいます。
その方たち、すべてが網羅できる簡単な秘訣はありません。
さらに言えば、ネット情報の多くは、「所得税」の見地からのみ話されていて、「住民税」や「社会保険」の見地も含めて解説されているものはほとんどありません。
そのため、「所得税」では「扶養のまま税金が戻ってきた!」と喜んでいたら、「住民税が増えた!」とか「国民健康保険が増えた!」というトラブルも発生しています。
この記事では、そういったトラブルを避ける為にも、かなり突っ込んだお話しをしていきます。
この記事を読み進めていく際は「自分はどれに当てはまるのか?」常に意識してください。
この記事が参考にならない人(株売却益や配当金を申告しない方がいい人)
株売却益や配当金を申告しない方がいい人もいます。
それは次の方々です。
- 国民健康保険加入者
- 医療費負担が2割もしくは1割負担の方
- 株譲渡益や配当所得の金額が多額の方
- 住民税や所得税を基準とした補助や手当などを受けている方
もちろん、この方々でも、確定申告をすることによって、還付されることもありますが、それ以上のダメージがある場合があります。
例えば「所得税は戻ってきたけど、手当が受けられなくなった。」など・・・。
また、医療費負担割合について言えば、2割や1割で医療費を受けられた方も、株譲渡益や配当金を申告してしまった為に、住民税の課税所得金額が145万円以上になると、医療費負担割合が3割負担になります。
それに加え、高額療養費も上がってしまうので、申告は慎重に考えて行ってください。
所得税と住民税の課税所得金額って違うって本当?
住民税の所得控除額は、所得税の所得控除額よりも少ないので、結果、住民税の課税所得金額は所得税のものよりも多くなり、注意が必要です。
わかりづらいのでちょっと一例を。
所得税の基礎控除額は48万円ですが、住民税の基礎控除額は43万円です。
所得税の(一般の)扶養控除額は38万円ですが、住民税の(一般の)扶養控除額は33万円です。
他にも生命保険料控除や地震保険料も住民税は所得税よりも少なくなります。
なので、所得税ベースで課税所得金額145万円を意識すると、住民税は145万円を軽く超えてしまいます。
所得税の還付を受けたいがために起こるよくあるミスです。
医療費負担割合が1割や2割の方や住民税を計算基礎とした手当を受けている方は、くれぐれも注意して下さい。
もし、どうしても「ちょっとでも得をしたい!」とお考えの方は、それぞれが受けている社会保障や補助、手当の基準が、「所得税」なのか「住民税」なのか、またはいくらなのかをきちんと確認してから行って下さい。
めんどうだし、難しいね・・・
そう思った方は、申告しないことをおすすめします。
ただ、最後に解決策もご紹介しますね。
【重要】3つの扶養要件を確認する
株譲渡益や配当金を確定申告した方が得か損か計算するには、扶養要件をきちんと把握する必要があります。
一言で扶養要件といっても、次の3つの扶養要件があります。
- 所得税の扶養要件
- 住民税の扶養要件
- 社会保険の扶養要件
それぞれ、自分が扶養要件に当てはまる金額はいくらか、必ず確認しメモして下さい。
- 所得税の扶養要件・・・合計所得金額が48万円以下の人
- 住民税の扶養要件・・・合計所得金額が48万円以下の人
- 健康保険(会社員が加入するもの)の扶養要件・・年間の収入が130万円未満
(国民健康保険の場合は扶養という概念がないのでここでは考慮にいれません。)
- 同居の場合は、収入が扶養者(親や配偶者)の収入の半分未満
- 別居の場合は、収入が扶養者(親や配偶者)からの仕送り額未満
扶養についてさらに詳しく確認したい場合は「【主婦・学生必見】ブログやユーチューブで収益が出たら扶養に注意! 」をご確認下さい。
税金が所得(収入-経費)を基準にしているのに対し、社会保険は収入を基準にしていることに気を付けてください。
株譲渡益・配当金を申告するとお得な人は?|その算出方法は?
それではさっそく、株譲渡益と配当金の計算方法をとおして、申告するとお得になるかどうか、見ていきましょう。
株譲渡益
概要
株譲渡益は次の方法で管理されます。
- 特定口座(源泉徴収あり)・・・申告義務なし
- 特定口座(源泉徴収なし)・・・申告義務あり
- 一般口座・・・申告義務あり
この内、特定口座(源泉徴収なし)と一般口座は申告義務があるので、ここでは触れません。
今回問題になるのが、源泉徴収ありの特定口座で管理していた株の売却益が出た場合です。
この源泉徴収ありの特定口座で管理されていた株の売却益は、もうすでに税金が徴収されているので、申告義務はありません。
ただし、申告したければしてもOKです。
通常、申告すると合計総所得が増え、不利になることが多いですが、ある一定の条件では、申告した方が「有利」に働くことがあります。
その条件は次のとおりです。
- 前年以前の譲渡損と相殺する場合
- 引ききれなかった所得控除(扶養控除・社会保険控除・生命保険控除・医療費控除なおど)がある場合
※ただし、合計総所得金額が扶養範囲内(48万円以下)になる場合に限ります。
この場合は、引いた分の所得控除や前年以前の譲渡損と相殺したに税率をかけた分が、戻ってきます。
また、まとめの章でお話ししますが、「扶養内」ということにこだわらず、扶養を外れても申告した方が、世帯全体を見ても有利ということもあります。
余談ですが、1つの証券会社で取引した「数銘柄ある売却益の内、1つの銘柄のみ申告」ということはできないので、くれぐれも注意して下さい。
複数ある証券会社の内、1つの証券会社で管理している売却益だけ申告するのはOKだよ。
要するに、申告するかしないか、管理証券会社ごとには選べるけど、銘柄ごとには選べないってことだね。
税金の算出方法
株譲渡益の税金の算出方法は簡単です。
申告分離課税で、譲渡益に15.315%かけた金額が所得税に、譲渡益に5%をかけた金額が住民税になります。
このことから、所得控除をした金額や前年以前の譲渡損と相殺した金額の20.135%(15.315+5)の額が、所得税と住民税で戻ってくる計算になります。
配当金
概要
配当金も株売却益同様、次の方法で管理されます。
- 特定口座(源泉徴収あり)・・・申告義務なし
- 特定口座(源泉徴収なし)・・・申告義務あり
- 一般口座・・・申告義務あり
この内、特定口座(源泉徴収なし)と一般口座は申告義務があるので、ここでは触れません。
今回問題になるのが、源泉徴収ありの特定口座で管理していた株の配当金が出た場合です。
この源泉徴収ありの特定口座で管理されていた株の配当金は、もうすでに税金が徴収されているので、申告義務はありません。
ただし、申告したければしてもOKです。
通常、申告すると合計総所得が増え、不利になることが多いですが、ある一定の条件では、申告した方が「有利」に働くことがあります。
その条件は次のとおりです。
- 前年以前の譲渡損と相殺する場合
- 引ききれなかった所得控除(扶養控除・社会保険控除・生命保険控除・医療費控除なおど)がある場合
- 配当控除を受ける場合
※ただし、合計総所得が扶養範囲内(48万円以下)になる場合に限ります。
詳しい話は、「まとめ」の章でお話ししますが、「扶養内」ということにこだわらず、扶養を外れても申告した方が、世帯全体を見ても有利ということもあります。
配当金の算出方法
配当金の税金の申告方法は3つあります。
- 申告不要
- 分離課税
- 総合課税
特定口座(源泉徴収あり)を利用されている方は、1.番の「申告不要」を適用できます。
ただし、先に列挙した一定の場合においては、申告した方が有利になります。
それでは、分離課税と総合課税をそれぞれ、見ていきましょう。
分離課税
分離課税は株譲渡益と同様に配当金額に15.315%かけた金額が所得税に、配当金額に5%をかけた金額が住民税になります。
このことから、所得控除や前年以前の譲渡損と相殺した金額の20.135%(15.315+5)の額が、所得税と住民税で戻ってくる計算になります。
総合課税
他の所得と分けて独自の税率で課税する「分離課税」に対し、他の所得と同じ超過累進税率で課税する「総合課税」では、配当控除(税額控除)も適用できます。
ここでポイントが2つ。
配当控除は税額控除なので、控除額がそのまま還付される。
(所得控除は控除額に税率をかけた金額が還付される。)
お得だね。
「総合課税」なので、他の所得と合算することで、税率が上がってしまう可能性がある。
所得税の総合課税は超過累進税率となっています。
超過累進税率とは、所得が増えれば増える程、税負担が多くなる税率
超過累進税率の例
- 税率が5%
- 税率が10%
- 税率が20%
- 税率が23%
- 税率が33%
- 税率が40%
- 税率が45%
税率が境目の人は、総合課税で申告をすると、「損」になる場合があるので、くれぐれも注意して下さい。
また、住民税についていえば、「申告不要」もしくは「分離課税」を選択すれば5%の税率ですが、「総合課税」で申告すると住民税税率が10%になってしまいます。
所得税の還付金額だけで判断しない方がいいね。
詳しい有利判定は「【株譲渡益・配当金】申告方法によっては損してるかも?|住民税がかからない方法あり」で説明しています。
まとめ:株譲渡益も配当金も確定申告すればお金が戻ってくることもある!でも細心の注意が必要!
株譲渡益も配当金も確定申告すれば、お金が戻ってくることもあります。
特に、引ききれなかった所得控除がある方はおすすめです。
もちろん、主婦や扶養になっている方も、申告することによってお金が戻ってきますが、細心の注意が必要です。
扶養が外れてしまうかどうかは、対象によって違いました。
- 所得税の扶養要件・・・合計所得金額が48万円以下の人
- 住民税の扶養要件・・・合計所得金額が48万円以下の人
- 社会保険の扶養要件・・・年間の収入が130万円未満の人
- 同居の場合は、収入が扶養者(親や配偶者)の収入の半分未満
- 別居の場合は、収入が扶養者(親や配偶者)からの仕送り額未満
これらをキチンと把握しましょう。
また、次の方は自己判断で申告をしない方がいいでしょう。
- 国民健康保険加入者
- 医療費負担が2割もしくは1割負担の方
- 株譲渡益や配当所得の金額が多額の方
- 住民税を基準とした補助や手当などを受けている方
もちろん、この方々でも、確定申告をすることによって、還付されることもありますが、それ以上のダメージがある場合があります。
もし、申告される場合は、税金に詳しい方以外にも社会保険や手当に詳しい方に必ず相談して下さい。
扶養についてさらに詳しく確認したい場合は、こちらの記事「【主婦・学生必見】ブログやユーチューブで収益が出たら扶養に注意! 」をご確認下さい。
税金が「所得(収入-経費)を基準にしているのに対し、社会保険は収入を基準にしていることに気を付けてください。
最後に、お得情報!
住民税の申告をしなくてもいい方法もあります。詳しくは下記参考記事をごらん下さい。
これができれば、住民税を基準にした手当や保障、医療費負担割合を気にせず申告できます。