申告しなかったり、申告漏れがあると追徴課税になるって聞いたけど、そもそも追徴課税ってなに?
この記事では、確定申告などの追徴課税について、その種類・税率・時効について、図や表を用いてわかりやすく解説していきます。
他ではあまり解説されない住民税や社会保険への影響についてもお話ししていくので、最後までお付き合い下さいね。
- 追徴課税について
- 加算税の種類・税率・時効について
- 住民税・社会保険への影響について
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追徴課税・加算税ってなに?
まずは「追徴課税」という言葉について、図を用いてわかりやすくお話しします。
追徴課税とは
実は、「追徴課税」という言葉は、税務用語ではありません。
なので、「追徴課税」のイメージを図解してみました。
ブルーの部分が正しい申告をすれば「本来払うべき税金」です。
それに対し、グリーンの部分は、間違った申告で「実際に納付した税金」です。
その差額(赤の矢印部分)が「追徴税額」になります。
追徴課税とは、この「追徴税額」を徴収されることをいいます。
ブルーの部分の「本来払うべき税金」は修正申告や税務調査により処分を受けて算出された税額になります。
追徴課税された税金は、原則として、現金で一括納付することになっています。
厳しいですね。
本来、支払うべき税金なので、当然と言えば当然ですね。
ただ、どうしても支払うことができなければ、税務署と相談の上、分割に応じてくれることもあります。
ただし、それには延滞税(利子のようなもの)も追加されてしまいます。
加算税とは|会計処理は?
加算税とは、罰金(ペナルティー)のようなものです。
通常の処理としては、会計上は「費用」計上して、申告書作成時に「費用」から除外します。(これを「損金不算入」といいます。)
どうしてこんなことするんですか?
罰金と言えども、会計上は経費計上できます。
ただ、税務上でも費用計上してしまうと、「脱税をして罰金を払った分だけ、税金が安くなる」という現象になります。
そんなことをしたら脱税だらけになってしまいますよね。
そうれを防ぐ意味でも、税務上は「費用」計上できなくなっています。
駐車違反などの罰金も同じ扱いなので気を付けてくださいね。
- 会計処理(会計期間中):費用計上
- 税務処理(申告書作成時):費用計上を取り消す(損金不算入処理)
加算税の種類と税率
加算税には以下のものがあります。
- 過少申告加算税
- 無申告加算税
- 重加算税
- 不納付加算税
- 延滞税
それでは1つ1つ見ていきましょう。
過少申告加算税
概要
過少申告加算税とは、申告期限内に提出された申告書に記載された金額が少なかった場合に課される税金です。
「申告期限内」とは、申告期限以前に申告した申告書です。
上の図を見て頂くとわかるように、
一方、申告期限後に提出した申告書を「期限後申告」といいます。
税率
過少申告加算税の税率は、「本来支払うべき税金」に対して、少なかった分の税額(下記図の追徴税額)に対して、10%になりますが、「期限内に申告した税額」(下記図の実際に納付した税金)または50万円の多い方の金額を超える部分は15%になります。
ただし、税務調査通知前に、間違いに気が付き、自主的に修正申告を提出した場合は、過少申告加算税は課されません。
間違いに気が付いたら、すぐに税務署に修正申告書を提出しましょう。
ただ、この場合でも、のちにお話しする、「延滞税」はかかります。
さらに細かく言うと、税務調査通知後でも調査による更正等の予知前(税務調査終了前)までに、修正申告書を提出すると、過少申告加算税が5%(10%)になります。
過少申告加算税の税率
- 税務調査の通知がくる以前(自主的に修正申告書を提出した場合)・・・
0% - 税務調査の通知後、税務調査終了前に修正申告書を提出した場合・・・
5%(10%) - 税務税務調査終了後・・・
10%(15%)
※()内の数字は、期限内に申告した税額または50万円の多い方の金額を超える部分の税額
計算例
- 本来払うべき税金100万円
- 実際に納付した税金30万円
の場合・・・追徴税額は70万円
⇒納付する金額は?
税務調査がくる前に自主的に間違いに気が付いて修正申告した場合
70万円+70万円×0%=70万円(←別途延滞税がかかります)
(内、過少申告加算税は0円)
税務調査の通知後、税務署から指摘される前に修正申告書を提出した場合
a:50万円(実際に納付した金額30万円より多いため)×5%=2.5万円
b:(70万円-50万円)×10%=2万円
c:70万+a+b=74.5万円(←別途延滞税がかかります)
(内、過少申告加算税は4.5万円)
税務署から指摘された後の場合
a:50万円(実際に納付した金額30万円より多いため)×10%=5万円
b:(70万円-50万円)×15%=3万円
c:70万円+a+b=78万円(←別途延滞税がかかります)
(内、過少申告加算税は8万円)
無申告加算税
概要
無申告加算税とは、申告期限内に申告書を提出しなかった場合に課される税金です。
税率
無申告加算税の税率は、「本来支払うべき税金」に対して、15%になりますが、50万円を超える部分は20%になります。
ただし、税務調査通知前に、自主的に申告書を提出した場合は、無申告加算税は5%に軽減されます。
ただ、この場合でも、のちにお話しする、「延滞税」はかかります。
さらに細かく言うと、税務調査通知後でも調査による更正等の予知前(税務調査終了前)までに、申告書を提出すると、無申告加算税が10%(15%)になります。
無申告加算税の税率
- 税務調査の通知がくる以前(自主的に申告書を提出した場合)・・・
5% - 税務調査の通知後、税務調査終了前に申告書を提出した場合・・・
10%(15%) - 税務税務調査終了後・・・
15%(20%)
※()内の数字は、期限内に申告した税額または50万円の多い方の金額を超える部分の税額
計算例
- 本来払うべき税金100万円の申告をしていなかった場合
⇒納付する金額は?
税務調査がくる前に自主的に間違いに気が付いて修正申告した場合
100万円+100万円×5%=105万円(←別途延滞税がかかります)
(内、無申告加算税は5万円)
税務調査の通知後、税務調査終了前に申告書を提出した場合
a:50万円×10%=5万円
b:(100万円-50万円)×15%=7.5万円
c:100万円+a+b=112.5万円(←別途延滞税がかかります)
(内、無申告加算税は12.5万円)
税務署から指摘された後の場合
a:50万円×15%=7.5万円
b:(100万円-50万円)×20%=10万円
c:100万円+a+b=117.5万円(←別途延滞税がかかります)
(内、無申告加算税は17.5万円)
結構な金額ですよね。
ですから、できれば、申告期限内にキチンと申告書を提出することをおすすめします。
その場合、信頼のできる税理士さんにお願いするのが一番です。
頼める税理士さんがいない場合は、税理士紹介センターなどで紹介してもらうのも1つの手です。
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重加算税
概要
重加算税とは、過少申告加算税または無申告加算税が課される場合に、税務署が「悪質だ」と判断した場合に課される税金です。
「悪質だ」と判断される具体的な内容は、納税者が全部または一部を隠蔽したり、仮装した場合などがあげられます。
税率
重加算税の税率は、税務署が「悪質だ」と判断した罰金なので、他の加算税よりもその税率は高くなります。
重加算税の税率
- 過少申告の場合・・・
35%(45%) - 無申告の場合・・・
40%(50%) - 不納付加算税の場合・・・
35%(45%)
※()内の数字は、過去5年内に、無申告加算税(更正・決定予知によるものに限る。)又は重加算税を課されたことがあるとき(10%加算)
不納付加算税
概要
不納付加算税とは、従業員や個人事業主への支払い時に、源泉徴収して、正当な理由なく法定納期限までに納付しなかった場合に課される税金です。
税率
不納付加算税の税率は、「本来支払うべき税金」に対して、10%になります。
ただし、税務署からの指摘がある前に納税した場合は、5%に軽減されます。
ただ、この場合でも、のちにお話しする、「延滞税」はかかります。
不納付加算税の税率
- 税務署からの指摘がある前に納税した場合・・・
5% - 税務署からの指摘されてから納税した場合・・・
10%
源泉徴収されたお金は、従業員が税務署に納付するはずのお金の預り金なので、税務署も目を光らせています。
くれぐれも気を付けてくださいね。
延滞税
概要
延滞税とは、申告期限の翌日から完納する日までの日数に応じて課される税金です。
計算式は、(本来の税額×延滞税の割合×完納までの日数)÷365日です。
税率
延滞税の税率は、細かいので、ざっくり覚えておくくらいでいいでしょう。
実際に納付する場合は、税務署にどのようにすればいいか問い合わせてみてください。
延滞税の税率
- 納期限の翌日から2ヶ月を経過する日までの期間・・・
年7.3%か特例基準割合+1%のいずれか低い割合 - 納期限の翌日から2ヶ月を経過する日の翌日以後・・・
年14.6%か特例基準割合+7.3%のいずれか低い割合
※延滞税特例基準割合とは、各年の前々年の9月から前年の8月までの各月における銀行の新規の短期貸付約定平均金利の合計を12で除して得た割合として各年の前年の11月30日までに財務大臣が告示する割合に、年1%の割合を加算した割合をいいます。
住民税・社会保険への影響は?
それでは、修正申告や税務調査で追徴税額が発生した場合の住民税と社会保険への影響について簡単にみていきましょう。
ちなみに、ペナルティーの意味合いである加算税は、住民税や社会保険料の算出には影響されなません。
ただし、住民税でも社会保険料でも、増加分の納付については、加算税が追加されます。
住民税
修正申告をした場合または税務調査で追加で税金が増えた場合は、各市区町村が住民税を改めて計算して、通達してきます。
その際は、もちろん、加算税についても記載されてきます。
社会保険
会社員などが加入している、お給料を算定基準にしている社会保険は、追加で税金が増えても変更ありません。
ただし、住民税を算出基準にしている社会保険(国民健康保険)は、増額になる可能性があります。
時効は?
税金にも時効があります。
納付の場合は、税務署から下記期間税金を請求されなければ、納税義務が消滅します。
ただし、「督促状」や「お尋ね」など、税務署からアクションがあった場合は、そのアクションがあった日(督促状が送られてきた日など)から新たに時効期間がスタートします。
納付(徴収)の「督促」がないということはほぼほぼないので、納付(徴収)については「時効は永遠に来ない」と思った方がいいですね。
納付(徴収)の場合の時効は?
納付(徴収)と還付の場合では時効が違います。
ここでは、納付(徴収)の場合を見ていきましょう。
申告書を申告期限内に提出した場合
税金の申告書を申告期限内に提出した場合の時効は、原則として、申告期限の翌日から3年です。
申告書を申告期限内に提出していない場合
税金の申告書を申告期限内に提出していない場合の時効は、原則として、申告期限の翌日から5年です。(ただし、贈与税の場合は6年です。)
税務署が「悪質だ」と判断した場合
税務署が「悪質だ」と判断した場合は、申告期限の翌日から7年です。
還付の場合の時効は?
納税者が納め過ぎた税金を返してもらう権利も存在します。(「還付請求権」という)
還付請求権は、還付できる日(2020年分の場合は、2021年1月1日)から5年以内です。
申告期限ではなく、「還付できる日」なので注意して下さいね。
まとめ:間違いに気が付いたら、すぐに修正申告書を提出しましょう!
「見つからなければいいや!」と放っておいて、税務署から指摘があった場合は加算税が取られます。
特に「悪質だ」と判断されれば、かなりの税額になります。
また、間に合わず、申告書を期限後に提出すると、加算税の増加だけでなく、青色申告の特典なども受けられなくなる可能性があります。
どうしても間に合わない場合は、とりあえず、申告書を提出し、後から、正確な数字を出して、修正申告をするのが一番です。
もし、税理士がいないなど、直ぐに申告書が提出できない場合は、税理士紹介センターなどで税理士を紹介してもらうのもいいかもしれません。
(税理士紹介センターについては、税理士どうやって探す?|紹介サイト厳選5選|初めての確定申告でも安心・丸投げOK で記事にしています。)
税務署としても、キチンとした申告書を提出してもらった方が、税務調査の手間が省けて、効率的です。
納税者としても、キチンとした申告のため、早めの準備をすれば、取れる節税対策も増えてきます。
納税者・税務署がお互い、「winwin」の関係が保てることが、一番の「得」になると思います。
早めの準備で「節税」を心がけましょう!
税理士さんに依頼したいけど、どこで探せばいいのかな?
お知り合いに税理士さんがいない場合は、税理士紹介サイトで探すのもいいですね。
その場合は、何か所かに登録して、複数の税理士さんと面談するのがおすすめです。
詳しくは、こちらの記事をご覧ください。