こんにちは!
2匹のねこ🐈の飼い主です。
この記事は、
- 相続税対策の為、子供(孫)に110万円の贈与をしたい
- どうやって渡せばいいの?
- 何か注意点はないの?
などの、お悩みを解決します。 世間であまりにも有名なこの、110万円非課税については、落とし穴もありますので、十分に気を付けて下さい。
- 贈与税110万円非課税とは
- その注意点と対策
この記事を書いている人 -WRITER-
りん:FP(元税理士事務所勤務)
税金や社会保険などのわかりづらい内容を、できるだけわかりやすく説明しています。その他、アラフォーからチャレンジしているブログ運営や、ペットについても発信しています。
そもそも贈与110万円までが非課税ってどうして?
よく、贈与の話になると、「110万円まで非課税だから」と言われていますが、なぜでしょうか?
ここでは贈与税について、ほんの少しだけ、お話ししたいと思います。
このブログでは、わかりやすく、また、「税金」を身近に感じていただくため、あえて、大まかにお話ししています。
詳しいお話は、税理士さんにご相談されることをおすすめします。
贈与税について
贈与税は、個人A(例えば「子」)が1月1日~12月31日までの1年間に、個人B(例えば「親」)から財産を受けた場合に、課税されるものです。
それでは、税金を納める人は誰でしょうか?
答えは、個人A(例えば「子」)です。
よく、個人B(例えば「親」)だと、勘違いされる方がいらっしゃいますが、お金をもらった人が、税金を納める事になります。
これが、孫でしたら、孫が税金を納めます。なんだか変ですよね。こういう事から、個人B(親)が払うと勘違いする方が多くなる気がします。
後ほど、具体例でこちらの話を補完したいと思います。
贈与税は、
- その年の1月1日から12月31日にもらった金額を申告する
- 税金を納める人は、お金をもらった人(上の例では、個人A)
※お金を渡した人(個人B)ではないので注意!
贈与税が110万円まで非課税の根拠
贈与税の計算式は、次の様になります。
いきなり、「課税価格」という難しい言葉が出てきましたが、ここを説明しだすと、話しが終わらなくなるので、ここでは、ざっくりと、「もらったお金」として認識して下さい。
上の公式を見ると、「もらったお金」から、110万円引いてくれるという事が読み取れますね。
110万円以内であれば、税率をいくらかけても、税金が出ません。
これが、「110万円までは非課税」と言われる理由です。
110万円非課税の注意点とその対策
この章では、110万円非課税の注意点をあげていきたいと思います。また、対策を練る必要があるものがあれば、その対策も一緒に提示しています。
110万円非課税の注意点①
1人につき110万円ではない
よくある勘違いですが、「1人につき110万円までなら大丈夫」と思っていらっしゃる方が多いです。
非課税枠内の贈与として行った【間違い例】
父親110万円
母親110万円をそれぞれ息子に贈与した
⇒結果:息子は220万円贈与される
この間違いが多いです。
どこが間違いか、もう、皆さんなら、おわかりですよね。
そうです。お金をもらった人が税金を払うので、この例では、息子が110万円以上の贈与を受けているので、息子が税金を払わなければなりません。
非課税枠内の贈与として行った【正しい例】
父親60万円
母親50万円をそれぞれ息子に贈与した
⇒結果:息子は110万円贈与される
これが、正しい例になります。この場合は、税金がかかりません。
110万円非課税の注意点②
定額贈与とみなされないようにする
定額贈与とは
定額贈与とは、毎年、決まった一定の金額を贈与する事が決まっている贈与のことを言います。
例えば、「今年から10年間、毎年、非課税枠の110万円を子供に贈与して税金対策しよう!」と思い立ったとします。
この場合、取り決めを行った、今年に、「1100万円のお金を得る権利を子供に贈与した」として、1100万円に対する贈与税が課されます。
え? だって、まだもらってないのに?
そうなんです。まだもらってないのにです。
わかりやすい例で、商品の売買で見ていきましょう。
その時の仕訳は?
(売掛金)100/(売上)100
簿記を知らない方には、わかりづらいかもしれませんが、要約すると、「お金をもらってなくても、商品の売買があった時点で、売上を計上しなければならない」という事です。
これと同じで、「10年間、1100万円あげるよ」という約束をすると、例え、まだお金をもらっていなくても、もらったことになってしまいます。(これを税務では、発生主義といいます。)
発生主義:権利が発生した時に、収益・費用を計上すること
現金主義:現金の入出金時に、収益・費用を計上すること
この、発生主義と現金主義の違いによる、「ズレ」を税務署は指摘してきます。
では、どうすれば、「定期贈与」ではないと主張する事ができるのか、対策を見ていきたいと思います。
対策
税務署から、定期贈与とみなされない為には、「たまたま毎年、贈与をおこなっていた」とわかってもらえればいいという事になります。
その対策として、「贈与契約書」を毎年、贈与の度に作っておくことをおすすめします。
また、贈与の時期や金額も毎年同じでない方がいいと思います。
110万円非課税の注意点③
贈与を行う時は、銀行を通して行う
贈与を行う時は、必ず銀行を通して行いましょう。
この人に税務調査に入ろうと思うと、税務署は、銀行口座を調べてきます。隠し銀行通帳があっても、見付けてきます。
そこで、100万とか200万などが引き落とされていると、必ず聞いてきますので、普段から、何でも銀行を通す癖をつけておくことをおすすめします。
銀行を通す事によって、いつ、誰に、いくら贈与したかの証明になります。
ばれないようにするんだから、現金でわからない様に渡した方がいいんじゃないの?
逆です。証明できなければ、税務署は取り合ってくれません。
「税法」も法律です。証拠がなくては認めてもらえません。
いつ、誰にいくら贈与したか証拠がなければ、相続時に、その不明金も含めた金額に相続税が課税されてしまう場合があります。
110万円非課税の注意点④
銀行は受贈者が入出金できるものにする
よく、親や祖父母が、子供や孫の口座を作り、管理し、そこにお金を入れて、贈与する事があります。
でも、これも、実は、税務署から指摘されます。これも、生前贈与として認められない可能性があります。
子供や孫が、管理できない(入出金できない)口座は、実質、贈与者(親や祖父母)のお金だと、税務署に認識されてしまします。
つまりは、親や祖父母のお金として、相続時に、銀行口座に移したお金を含めた金額に相続税がかかってしまうのです。
税務署は、「形式」ではなく、「実質」を重んじます。
子供や孫が、入出金できない(管理できない)口座は、名義(形式)が子供や孫名義でも、実質は、親や祖父母の持ち物という事になってしまいますので、くれぐれも注意して下さい。
110万円非課税の注意点⑤
死亡年3年前の贈与は相続税の計算に参入される
これもあまり知られていないのでは、ないのでしょうか。
相続税を計算する時には、死亡年3年前の贈与も計算に入れる事になっています。
例えば、
父親⇒子供3人に毎年、100万円ずつ、5年間贈与していたが、死亡した。
今財産は1,000万円の現金のみ
と言った場合、相続税の計算の元になる財産はいくらでしょうか。
答えは、1,900万円です。
え? 1,000万円じゃないの?
先程も言ったとおり、相続税を計算する時は、死亡年3年前の贈与も計算に入れる事になっています。 つまり、計算式は次の通りです。
この1,900万円を元に、相続税が課税されます。
相続税が課税されるかどうかの分岐点ギリギリの方や、多額の資産をお持ちの方は、早めの節税対策をおすすめします。
その際には、自己判断せず、専門家の意見を聞くことが、結局は一番の節約になると思います。
まとめ:110万円贈与でも非課税にならない時がある
以上、なるべくわかりやすくお話ししたのですが、いかがでしたでしょうか?
一番最初にもお伝えしましたが、わかりやすさに重点を置いた為、細かい説明は省いています。
省いている事の方が多いくらいです。そのくらい、税法は難しいものですので、「知らなかった」と後悔しないように、専門家の意見を聞く事をおすすめします。
相続税は、事前の準備(贈与)によって大きく変わります。
また税理士さんによっても、税額が大きく変わる場合がありますので、数人の税理士さんとお会いする事をおすすめします。
それでは、最後に110万円贈与でも非課税にならないポイントをお伝えしたいと思います。
- 贈与の非課税額110万円は、贈与される側(子供や孫)の年間受取合計額
- 定額贈与とみなされないように、「贈与契約書」を作る
- 贈与する時は、銀行を必ず通す
- 贈与される側(子供や孫)の銀行口座は、贈与される側(子供や孫)が管理しているものにする
- 死亡3年以内の贈与は、相続時に相続財産としてカウントされる。