こんにちは!
2匹のねこ🐈の飼い主です。
人は、節目節目でお金を借りるシチュレーションがあります。
例えば、
- 家を買う時
- 事業を始める時
- 事業を拡大する時
などなど。
私が会計事務所に勤めていた時、お客様がそういったシチュレーションになる機会に何度も立ち会いました。
皆さん、一応に、「思った以上に借りれた!」と口をそろえておっしゃり、喜びます。
でも、ちょっと待ってください。その考え方、すごく危険です。
お金を借りる時の考え方と注意点をお伝えしたいと思います。
借入する時の注意点
それでは、これから、借入をする時の注意点をお話ししようと思います。
お金を借りる時は、「いくら借りれるか?」ではなく、「いくら返せるか」で金額を決める。
時々、いくら借りられたかが、「ステータス」だと勘違いされる方が多い様に感じます。
そこで、この記事では、具体例を出して、「いくら借りる」かが、どの様な影響を及ぼすか、お話ししたいと思います。
借入の具体例をあげて考察
それでは、これから、
- 手元に残る金額
- 利息
- 税金面
の3つの考察を、以下の2つの具体例で検討してみたいと思います。
借入目的: 事業資金
年商 : 1,000万円
経費 : 700万円
借入利息 : あり
とします。
【具体例①】
(返せるお金を借りた場合)
年商 1,000万円
経費 700万円
借入返済 120万円 (毎月10万円)の場合
手元に残るお金 180万円
具体例①では、返せるお金を借りているので、会社の決算が終わり、税金を払う前には、180万円手元に残りました。
この後、このお金(180万)で、300万(1,000万円-700万円)に対する税金を払います。
【具体例②】
(限度額までお金を借りた場合)
年商 1,000万円
経費 700万円
借入返済 240万円(毎月20万円)の場合
手元に残るお金 60万円
具体例②では、年商も経費も同じだった場合、借入返済が限度額まで借りてしまっているので、手元に60万円しか残りません。
この後、このお金(60万)で、300万(1,000万円-700万円)に対する税金を払います。
税金は、年商-経費=所得 ← この「所得」に税率をかけて算出します。
手元に残った金額ではないので、注意して下さいね。
手元に残る金額より考察
具体例①と②の手元に残る金額は先程のとおりです。
当たり前ですが、「返せる金額」で借りた方が、手元にお金が残りますね。
今回のケースでは、その差は、120万円!
必要以上に借りた金額をそのまま貯蓄に回していれば、まだいいですが、大多数の方は、お金が手元に入れば、ほぼ使い切ります。
住宅購入資金であれば、必ずと言っていいほど、「キッチンのグレードあげようかな?」とか、「きれいなテーブルほしいな」とか、お金がまだ残っていると錯覚し、色々と使ってしまいます。
事業用資金であれば、「設備投資にもっとお金をかけよう」とか、「仕入れを多くしよう」とか、もしくは、「お給料をおげちゃおうかな?」と思うかもしれません。
それらが実を結べば、なんの問題もないのですが、「余ったお金どうしよう?」みないなお金は、使う判断を誤る事が多いです。
こういった事からも、「借りれる金額(限度額)」で、借りるよりも、「返せる金額」で借りた方がいいという事がわかります。
預金利息と支払利息より考察
余分に借りたお金を、使いたい所をグッと我慢して、踏みとどまって、貯金したとしましょう。
定期預金金利は、0金利時代(平均0.002%)
借入の支払利息は、もっとも低くても0.38%~2%(よく見るのが、1.7%前後)を考えると、借りたお金を定期預金で運用するのは、バカげていますよね。
この考察においても、「借りれる金額(限度額)」で借りるよりも、「返せる金額」で借りた方がいいという事がわかります。
税金面より考察
最後に、税金面より考察していきたいと思います。
「借入金利息」は、経費になりますが、「借入金返済額」は経費になりません。
仕訳をするとこんな感じです。(支払い利息は2%と仮定)
【借入返済の仕訳】
(借入金)10,000円 (現金預金)10,200円
(支払利息)200円 ⇦ 経費になる金額
と、なり、当たり前ですが、経費となる金額は、支払利息の200円のみです。
時々、返済額の10,000円を「払ったから経費になる」と錯覚されている方がいらっしゃいますが、残念ながら、経費になりません。
つまりは、返済が少なかろうが多かろうが、支払利息の差だけで、具体例①と②は、いずれも、利益の300万に税金がかかってしまいます。
なんか、①と比べて②の場合は、120万円も多く払って、節税にならないなんて、損した気分だね。
そもそも、借りたお金を返すのは、経費じゃないから、節税対策にはならないよね。
借入がいくらまでできるのか(限度額)
それでは、借入がいくらまでできるのか、限度額のお話をしたいと思います。
事業資金の為の借入の場合
銀行と相談します。銀行は、会社の経営成績や資産状況などを、「決算書」を見て判断します。
借り入れる使用目的と「決算書」を照らし合わせ、「いくらまで貸すか」判断します。
特に今は、資産状況が重要視されています。それにはいくつか理由がありますが、ここでは、省きたいと思います。
今回の話で言うと、毎回、黒字でも、お金が回っていない会社があるからです。俗に言う「自転車操業」、「勘定あって、銭足らず」の状況ですね。
こうなると、倒産のリスクが高くなります。
これが、昨今、利益(損益計算書)より、資産状況(貸借対照表)が重視される理由の1つです。
つまり、利益が出て、お金が入っても、返済に追われるという、悪循環に陥ってしまい、いつも手元にお金がない状態になってしまうのです。
そうなると、資金がショート(無くなり)し、最悪、倒産という事になります。その可能性を見る為にも、資産状況を銀行は重視します。
住宅購入の為の借入の場合
住宅販売会社とお金を貸してくれる銀行などと相談します。
有名なのが、「フラット35」などではないでしょうか。
借入限度額のシュミレーションが、住宅金融支援機構公式HPにありますので、ご興味があれば、シュミレーションしてみてはいかがでしょうか。
このシュミレーションは、「限度額」を算定するものです。本当にその金額まで必要か、検討する事をおすすめします。
生活費などの為の借入の場合
カードローンなどが当てはまります。
カードローンなどは、一般的に、総量規制の対象となっており、「年収の3分の1」までしか借りれません。
気を付けたいのが、1社につき、「年収の3分の1」ではないという事です。
何社かで借りていれば、その借りているローン会社の借入の合計額が、「年収の3分の1」までしか借りれません。
こちらも、自転車操業している方がよくいらっしゃいます。
例えば、Aというローン会社の返済期限が迫っていて、Bというローン会社から新しく借りたりしています。
特に厳しいのが、新たに借りたBローン会社では、Aローン会社の返済分だけでなく、手元にもお金が欲しくて、Aローン会社の返済額以上のお金を借りて、借入がどんどん増えていく人がいます。
最悪は、借りれるところがなくなり、違法な金利でお金を貸す、貸金業者にまで手を出す人が、結構います。
気が付いた時には、どうしようもなくなり、親族に肩代わりしてもらったり、弁護士事務所に相談に行ったりしています。
もし、万が一、返済する見通しがつかないなど、お悩みがある様であれば、早め早めに弁護士に相談する事をおすすめします。
「返せる金額」がどの位か誰に相談すればいいの?
どの位借りれるか、誰に相談すればいいのでしょうか?
借りる目的により、前項で示した方々に普通なら相談されると思います。
ただ、私は、もう1人、セカンドオピニオン的に相談した方がいいと思います。
理由は、簡単です。
先程、相談相手とした方は、皆さん、売上を目的にされている方達なので、売上が多くなる「限度額」いっぱいを提案してくると思われるからです。
たとえば、住宅建築会社なら、いっぱい借りてもらって、高い住宅を購入してもらいたですよね。
たとえば、銀行なら、いっぱい借りてもらうと、銀行員しいては、銀行の成績になります。
例えば、「3,000万借りれるけど、2,000万ぐらいにしておいた方がいいんじゃないですか?」なんて言う営業さんはいないよね。
ですから、利害関係のない方にも相談する事をおすすめしたいと思います。
それでは、誰に相談すればいいかですが、会社の運転資金などであれば、税理士さん。
生活費、住宅ローンなどであれば、ファイナンシャルプランナーがおすすめです。
顧問税理士さんが一番いいのですが、いらっしゃらないとか、他の税理士を探したいという方は、税理士さんを探すサイトがありますので、そちらで探してみてはいかがでしょしょうか。
この税理士ドットコムでは、無料で登録ができ、税理士さんを簡単に探す事ができます。
また、FPさんの中には住宅購入に強いFPさんがいます。
住宅相談できるFPが探せるサイト
最初は、相談料無料です。
ただ、より詳しく相談する事になると、もちろん、相談料がかかったりしますが、大きいお金が関わる事については、プロの意見を聞いてから行動した方が、結果、「無駄なお金を払わずにすんだ」という事例が多々あります。
会計事務所勤務の時、よく、あったシチュレーションが、「一言相談してくれれば、アドバイスできたのに…。」ということばかりでした。
それは、あまりにも皆さん、業者さんや銀行員の「明るい未来」の話を聞いて、とび乗ってしまうんですよね…。
もちろん、それだけのお金を払えば、「明るい未来」は訪れるかもしれません。
ですが、それに対する、リスクをきちんと冷静に考えたでしょうか。
恐らく、その「明るい未来」に心奪われ、見ないふりして、申し込んでいると思います。
その「明るい未来」は、借入によって描かれた、厳しい未来だという事を、借入をする上で、キチンと理解すれば、後々、「借入負担が重くて大変(>_<)」と、悩む事が少なくなると思います。
そういった事からも、借入についてもセカンドオピニオンを是非、お試しください。