法人の決算から確定申告の提出まで自分でやりたいのですが、簡単にできますか?
この記事ではこんなお悩みを解決します。
まずは結論!
この記事では、法人の決算や申告を税理士に依頼せず、自分で申告する方法もお伝えしますね。
- 税理士なしで確定申告するメリット・デメリット
- 税理士なしで確定申告できる人・やめておいた方がいい人
- 税理士の探し方
この記事を書いている人 -WRITER-
りん:FP(元税理士事務所勤務)
税金や社会保険などのわかりづらい内容を、できるだけわかりやすく説明しています。その他、アラフォーからチャレンジしているブログ運営や、ペットについても発信しています。
- 法人の申告と個人の申告の違い
- 自分で申告するメリット・デメリット
- 法人決算や申告を税理士なしで申告してもOKな人
- 法人決算や申告を税理士なしで申告するのはNGな人
- デメリットが多くても「税理士なしで申告」する方法
- まとめ:法人決算は税理士なしでするのは難しい・・・|自分で申告する場合はリスクをキチンと認識しよう!
法人の申告と個人の申告の違い
実は、個人の確定申告と法人の確定申告にはさまざまな違いがあります。
ここでは、その違いを見ていましょう。
この違いが理解できる方は、法人の申告書もある程度作成できるでしょう!
- 個人の申告では出てこない用語が出てくる
- 税率をかける所得が違う
- 法人の申告書は個人の申告書よりもページ数が多い
- 個人と法人では、PLとBSの数字が違う
ここが理解できなければ、法人税の申告書を作ることはできません。
しかも、ここでお話しするのは、本当に最小限のことです。
つまり、法人税の申告書を自分で作るのか税理士に作ってもらうのかの分岐点になります。
違い①
個人の申告では出てこない用語が出てくる
法人税の申告書には、個人の申告では出てこない用語が出てきます。
ごくごく一般的なものを列挙しました。
別表・同族会社・損金算入(不算入)・益金算入(不算入)・損金経理・納税充当金・欠損金・役員の定期同額給与など
ここでは用語の説明を省きますが、これらの言葉の意味をまず理解しないと、法人の申告書は作成できません。
違い②
税率をかける所得が違う
個人の事業の確定申告の場合、決算書に記載された利益から青色申告控除額を引いた所得に税率をかけました。
一方で、法人の場合は決算書に記載された利益から、プラス・マイナスの調整をした所得に税率をかけます。
ちょっと難しいので、イメージ図を作りました。
図のように、個人の申告書は、決算書で算出された利益に税率をかけるだけの簡単な計算式で税額を出すことができました。
一方で、法人の申告書は、決算書で算出された利益に、加減算を加えて出た所得に税率をかけます。
税金は「所得」に税率をかけて算出します。
個人は「利益=所得」ですが、法人は利益と所得がイコールにはならないところが、大きな違いです。
どうして、法人は利益と所得が同じにはならないんですか?
理由はいくつかありますが、多くは「課税の公平性」を保つためです。
ちょっとわかりづらいので例を2つあげて説明していきましょう。
例①交際費の損金不算入
一定額以上の交際費は経費計上できない。
交際費は、個人では全額経費計上できますが、法人では経費計上ができる上限が決まっています。
計上しようとすればいくらでも計上できるのが交際費です。
それでは、まともに申告している人との公平性は保てません。
ですので、法人税法では、ある一定額以上の交際費は「損金不算入」として処理します。
「損金不算入」とは、経理上は経費にすることができるが、法人税法上は経費(損金)にすることができないこと。
例②役員報酬の損金不算入
一定額以上の役員報酬は経費計上できない。
役員報酬も利益調整しやすい項目です。
「今月は儲かっているからお給料を多くしよう」とか「今月は赤字だからお給料を減額しよう」とか、自由自在にすることができます。
ただし、それを認めてしまうと、利益調整がいくらでもできてしまいます。
ですので、法人税法の役員報酬は、一定額でなくてはならない決まりになっています。
もちろん、経理上は一定額以上の役員報酬を費用計上しても問題はありません。
ただし、法人税法上は認められていないので、役員報酬を一定額以上払った場合はその超えた部分について「損金不算入」で加算処理した金額に法人税率をかけることになります。
うちは超零細なので、交際費も多くないし、役員報酬も一定額きちんと計上しているから、この加減算は必要ないですよね。
法人の場合は交際費が少なくても、役員報酬が一定でも、それらを証明する計算式を記載した申告書を提出する必要があります。
交際費の証明に必要な申告書は「別表15」になります。
役員報酬の証明に必要な申告書は「役員報酬手当等及び人件費の内訳書」になります。
違い③
法人の申告書は個人の申告書よりもページ数が多い
個人の申告書は、決算書のほか、「表1」と「表2」の2枚の申告書の提出のみですみます。(別途、土地建物株式の分離課税がある場合は表3とその他の付属資料が必要になります。)
一方で、法人の場合は、決算書のほか、最低でも「別表1」「別表2」「別表4」「別表5(一)」「別表5(二)」「別表6」「別表15」や各勘定科目の内訳書(10枚~30枚ほど)を作成する必要があります。
別表については、最低限なので、通常ではもう少し提出しなければならないものもあります。
違い④
個人と法人では、PLとBSの数字が違う
法人税では、PL(損益計算書)の数字とBS(貸借対照表)の数字が決算書と違います。
個人と法人のPLの違いの関係
先程の図を思い出して下さい。
個人は決算書の利益を元に税率をかけていました。
一方で、法人は決算書の利益を法人税法の利益に合わせて調整した所得に税率をかけました。
実は、その調整した金額こそが、法人税法上のPLになるんです。
「決算書用」と「法人税法用」の帳簿を2つ作れば、期末に調整しなくてもいいんじゃないですか?
もちろん、それぞれの役割りにあった帳簿を作れば期末に調整も必要なくなりますね。
でも2つ帳簿を作るのは手間になりますよね。
なので、会計にそった帳簿を1つ作って、その結果(利益)から加減算をして税務上のPLを作る手順を法人の申告書では作っています。
この流れを別表4で申告しています。
個人と法人のBSの違いの関係
また、個人と法人のBSも違います。
細かい説明はここでは省きますが、会計上のBSと税務上のPLの違いを別表15(一)で申告しています。
自分で申告するメリット・デメリット
それでは、法人の確定申告を税理士に頼まず、自分で申告するメリット・デメリットを見ていきましょう。
自分で申告するメリット
自分で申告するメリットは以下のとおりです。
- 税理士費用を抑えることができる
- 経営感覚が身に付く
- 法人税法や消費税法が身に付く
自分で申告すれば税理士費用を抑えることができます。
また、自分で会計データを入力することになるので、今の経営状態が手に取るようにわかり、経営感覚が身に付きます。
さらには申告には、法人税法や消費税法の知識が必要となり、それらの勉強をせざるを得なくなるので、税法の知識が身に付きます。
自分で申告するデメリット
一方で、自分で申告するデメリットは以下のとおりです。
- 申告するための知識を身に付ける必要がある
- 業務が圧迫される
- 税務調査の確率が上がる
- 決算書も申告書も社会的信用度に欠ける
- 最大限の節税対策が取れない
自分で申告するので、経理の知識や法人税法や消費税法などの税務の知識を身に付けなければなりません。
経理の知識は簿記2級程度のものがあればいいので、すでに知識がある方が多いと思います。
ですが、税法の知識を持っている方はあまりいないのではないでしょうか。
税法の知識を得るにはかなりの労力が必要となります。
また、知識を得たとしても、会計データの入力や、先程のようにかなりの枚数の申告書を作る必要があり、時間もかかります。
その間、拘束されるため、業務が圧迫されます。
そして、一番のデメリットは、こんなに頑張って作った申告書も、税務署や銀行からの信頼性が担保できません。
いくら頑張って決算書や申告書を作成しても、税理士印がある書類には勝てません。
病気の診断書と同じで、税務署も税の専門家である税理士印のない決算書や申告書はミスも多く、あまり信用しません。
ちなみに、素人さんが作った決算書や申告書の間違いは、税理士ではない私にも簡単に見つけることができます。
節税対策にしても、プロである税理士には、節税対策のノウハウを豊富に持っています。
経費節減のために税理士費用をケチったばっかりに、「節税対策が不十分な申告書を提出し、多く税金が取られ」なんてことにもなりかねません。
さらには、税理士印のない申告書なので、信頼性もなく、結果、税務調査の対象にでもなったら、元も子もありません。
自分で申告する方は、こういったデメリットをキチンと認識して判断して下さい。
法人決算や申告を税理士なしで申告してもOKな人
法人決算や申告を税理士なしで申告してもOKな人は以下のとおりです。
- 簿記の知識と税務の知識がある人
- 決算や申告をする時間が取れる人
- まだ売上が少ない人
- 税務調査がきてもある程度対応できる人
まず、簿記や税務の知識がないと、そもそも決算書や申告書は作れませんので知識がない人は税理士を使わず申告することはおすすめしません。
また、たとえ知識があっても、入力作業や申告書作成作業にそれなりに時間がかかります。
その時間がある方は税理士なしでもいいと思いますが、「自分が申告書を作成している時間を事業に専念すれば、どのくらい儲けられるか」必ず比較し、判断して下さい。
とは言え、まだ売上が少ない法人は、作業量も論点となるポイントも少ないので、自分で申告する選択をしてもデメリットは軽減されます。
ただ、自分で決算書を作成される方は間違いが非常に多く、税務調査の対象になりやすいです。
単なる記入ミスならいいのですが、「簿記」や「税務」の独特の考え方を理解していない書類には、税務署は厳しく追及してきます。
決算書も確定申告書も法的な書類だということを認識しましょう。
ネット上では、裏ワザ的手法を掲載しているものがありますが、脱税やそのギリギリの線を攻めているものも多くあります。
そういった情報も税務署では日々チェックしているので、鵜呑みにせず、キチンとした申告が必要になります。
法人決算や申告を税理士なしで申告するのはNGな人
法人決算や申告を税理士なしで申告しててはいけない人は以下のとおりです。
- 簿記の知識と税務の知識がない人
- 決算や申告をする時間が取れない人
- まだ売上が多い人
- 税務調査の対象になりたくない人
まず、申告について知識がない人は、税理士なしでの申告は絶対におすすめしません。
例え、優秀で頭のいい方でも、短期間でこれらを習得し、キチンとした申告をすることは不可能です。
また、知識がない上に「入力作業も自分で」となると、間違いだらけの申告書を貴重な時間を割いて作成することになり、時間がもったいないです。
さらに、大変な苦労をして作っても、税理士名の記載されていない決算書や申告書は税務調査の対象になりやすいです。
そもそも、売上が少ない段階では、それも問題になりませんが、売上が大きければ大きいほど、否認(経費計上が認められなかったこと)の影響は大きくなります。
これらの方は、税理士に依頼するのが一番です。
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デメリットが多くても「税理士なしで申告」する方法
税理士を使わずに確定申告書を作成することはデメリットが多いです。
特に、経理経験がない、もしくは少ない方や、税法を知らない方はおすすめできません。
例え、今、税務調査に入られなくても、儲けが出てきた頃、3年~5年前までさかのぼって税務調査に入られてしまいます。
このような理由から、できれば、税理士に依頼することをおすすめしますが、「どうしても自分でやりたい!」という方のために、ここでは、自分で法人の確定申告をするために最低限必要なことを記載していきたいと思います。
挫折すれば下記でお伝えする準備やコストがすべて無駄になりますので、最初っから税理士に依頼することをおすすめします。
わかっているところは読み飛ばして下さい。
自分で申告する準備①
経理を勉強する
そもそも経理を知らないと「決算書」を作成することはできません。
売上や経費はただ入力すればいいということではありません。
経理にも色々な法則や決まりがあります。
それらを無視した「決算書」は税務調査の標的になりますので、経理を知らない方は、まずはそこから勉強しましょう。
こういった本のほかに、スキマ時間に勉強できるツールもあります。
月額1,078円でスマホで学習できるのでおすすめです。(詳しくは「オンスクの評判が気になる人必見|特徴・メリット・デメリットを詳しく解説 」で記載しています。)
自分で申告する準備②
税務を勉強する
税務も知らないと確定申告書を作ることはできません。
とはいえ、1から勉強するのも大変です。
そこで、下記のような本を片手に申告を作成するのがおすすめです。
法人税申告書の書き方の本はどれも難しいですが、こちらの本が比較的わかりやすいです。
こちらの本はすべて読みこなすというよりは、必要なところを本を片手に申告書を作成すると言ったイメージで使うといいでしょう。
自分で申告する準備③
会計ソフトに頼る
経理や税務を勉強しても、1から申告書を作成するのは非常に困難です。
ネットで申告書を印刷して記入することもできますが、恐らく、そのやり方では100%挫折します。
そこでおすすめなのは、申告書まで作成できる会計ソフトに頼るということです。
ここでは、小規模の会社向けにクラウドの会計ソフトをご紹介します。
- freee
<< 会計ソフトfreee公式HPへはこちらから
👉『freeeの特徴・料金・口コミ』で詳しく説明しています。 - マネーフォワードクラウド
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👉『マネーフォワードクラウドの特徴・料金・口コミ』で詳しく説明しています。 - 弥生会計
【法人用】
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👉『弥生会計オンラインの特徴・料金・口コミ』で詳しく説明しています。
【個人用】
<< やよいの青色/白色申告オンライン公式HPへはこちらから
👉『やよいの青色/白色申告オンラインの特徴・料金・口コミ』で詳しく説明しています。
この3社の会計ソフトについては、「クラウド型会計ソフト徹底比較!【法人用】 」でわかりやすく比較しています。
これらのサービスは、税務の基礎知識がなくてもある程度、申告書を作成することができますが、それでも万全ではありません。
また、どうしてもソフトの使い方もある程度、身に付ける必要があります。
ですので、初年度はヘルプデスクに気軽に問い合わせできるサービスを選択しましょう!
まとめ:法人決算は税理士なしでするのは難しい・・・|自分で申告する場合はリスクをキチンと認識しよう!
法人の決算は、個人とは違い、作業量も多く、社会的責任も伴います。
もし、脱税もしくは意図しなくても脱税に近い処理をしてしまった場合、取引先に迷惑がかかる場合もあります。
また、どんなに頑張っても税理士が作った以上の信頼性は担保できません。
さらに、よくあるパターンが、頑張って法人税の確定申告書作成に挑戦してみたはいいがリタイアしてしまう人も多いです。
リタイアすると時間と労力の無駄使いした分、損失は多くなります。
「申告書を作成した時間を本業に充てたらもっと儲けることができたのに・・・」と後悔したとよく聞きます。
お休みが中々取れない方は、家族サービスに時間を使うことができたかもしれません。
会社組織は、その得意分野をそれぞれの担当者に振り分け、営業成績を上げています。
それと同様、税務を税務の専門家に依頼せず自分でやる選択肢は実はあまりいい手ではありません。
税理士費用の負担が不安であれば、相見積もりをとることで解決できます。
その為にはより多くの税理士と会う必要がありますが、探すのも手間ですよね。
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