生命保険会社からもらった給付金って、申告する必要あるの?
今日はこんなお悩みを解決します。
結論から言うと、給付金の多くは「一定の場合」を除き、申告する必要はありません。
「一定の場合」ってどんなとき?
この記事では「一定の場合」と、よくある「申告時の間違い」もクイズ形式でわかりやすく説明します。
- 給付金と保険金の違い
- 非課税になる給付金一覧
- 非課税の給付金でも申告しなければならないとき
- よくある申告時の間違い
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- 確定申告で悩む「生命保険会社からの給付金」一覧
- 非課税の給付金でも所得税の確定申告をしないといけない場合ってどんなとき?
- 【クイズで理解しよう!】医療費控除の申告例
- まとめ:医療費控除の適用を受ける場合は、給付金の申告を忘れずに!
確定申告で悩む「生命保険会社からの給付金」一覧
生命保険会社から「保険金」もらったんだけど、これって確定申告する必要あるの?
え?「給付金」の間違いじゃない?
問い合わせなどでこの言い間違いが結構多いので、まずはこの違いからお話ししますね。
「保険金」と「給付金」の違いと税金
保険金には、「死亡保険金」や「満期保険金」などがあります。
通常、1回の支払いで生命保険契約が終了します。
保険金の税金は、契約や、契約者と受取人によって、所得税(一時所得など)になったり、贈与税になったり、相続税になったり色々と税目が変わります。
詳しくは、契約している保険会社に問い合わせてください。
それに対し、給付金は、入院給付金や手術給付金など契約により複数回支払われる可能性のあるものをいいます。
給付金の税金は「一定の場合」を除き非課税です。
※「一定の場合」は次章お話しします。
所得税が非課税になる給付金一覧
所得税が非課税になる給付金などをざっとあげていきます。
- 入院給付金
- 手術給付金
- 通院給付金
- 疾病(療養)給付金
- 障害保険金(給付金)
- 特定損傷給付金
- がん診断給付金
- 特定疾病(三大疾病)保険金
- 先進医療給付金
- 高度障害保険金(給付金)
- リビング・ニーズ特約保険金 など
いっぱいあって頭クラクラするね。
イメージとしては、「実際に発生した費用や損失を補うようなものには、お国も課税しないよ。」と覚えておけばいいよね。
保険会社から配布される「給付金支給案内」などに課税関係の文言が小さく赤字で書いてあったりするので、そちらで確認することをおすすめします。
また、どうしてもわからない場合は、契約している生命保険会社に聞いて下さい。
その際は、保険証番号を必ずお手元に用意して下さいね。
また、今は個人情報が厳しく、例え子供でも「契約者ご本人でないとお教えできない。」と言われることが多々あるので、契約者の方もそばにいてもらって連絡するとスムーズだと思います。
余談ですが、請求漏れも多く発生しています。「これって給付金もらえるの?」と少しでも思うものがあれば、どんどん契約している生命保険会社に聞いて下さいね。
ちなみに私はレーシック手術をした際、保険契約が古すぎて給付金がもらえませんでしたが、新しい保険契約ではレーシック手術ももらえるそうです。
契約内容も契約時期も人それぞれだから、周りの噂に左右されず、どんどん保険会社に聞くといいよね。
非課税の給付金でも所得税の確定申告をしないといけない場合ってどんなとき?
入院給付金など、非課税の給付金でも申告しないといけない場合があります。
え?どんなとき?何所得になるの?
実は、入院給付金はどの所得にも当てはまりません。
じゃあ、申告できないよね?
「一定の場合」は申告しなければいけません。
やっと、「一定の場合」が出てきた!
「一定の場合」ってどんな場合?
「一定の場合」とは、その給付を受けた原因になる医療費控除の適用を受けた場合です。
つまり、入院費を医療費控除するなら、入院給付金を申告しないといけないということになります。
- 医療費控除する場合 ⇒ 給付金の申告が必要
- 医療費控除しない場合 ⇒ 給付金の申告不要
どっちが得なの?
それは次章のクイズの時までのお楽しみです。
【クイズで理解しよう!】医療費控除の申告例
それでは早速、医療費控除の申告について、クイズで勉強していきましょう!
今日は、医療費控除の論点の中でも、非課税の給付金についてのクイズです。
当たっても景品はありません(>_<)
でも、今日の記事のおさらいにもなるからぜひチャレンジしてみてね。
ちなみに答えの金額については、「10万円控除前の金額」にします。
理由は、皆がみんな、「10万円控除」ではないからです。(詳しくは後日お話ししますね。)
医療費控除【給付金】の問題①
持病(糖尿病など)が悪化し入院したときの医療費控除例(給付金を申請しない場合)
問題①は給付金を確定申告で申告しない場合について見ていきましょう!
1月~6月 :通院 30,000円
7月 :入院 80,000円
7月~12月:通院 30,000円
ほか歯医者など 50,000円
合計 190,000円(支出)
入院給付金 100,000円(収入)
どうでしょうか?
わかりましたか?
答えは・・・110,000円です。
え?申請しないんだから、医療費控除対象の医療費は190,000円じゃないの?
入院給付金は非課税なので確定申告で申告する必要はありませよね。
でも、その給付の対象になった医療費について医療費控除する場合は、入院給付金も申告しなければならないんです。
これが先にお話しした「一定の場合」です。
この事例のように、今年もらった入院給付金を確定申告で申告しない場合は、その給付の対象になった7月分の入院費は、医療費控除できません。
よって今回は、通院と歯医者の分(30,000円+30,000円+50,000円)の110,000円となります。
「給付の対象になった医療費」は、生命保険会社に「給付申請書」を出した際にご自分で記入した事項です。
(例)
- 入院給付金:入院時にかかった医療費など
- 手術給付金:手術にかかった医療費など
- 通院給付金:通院として申請した日の医療費など
医療費控除【給付金】の問題②
持病(糖尿病など)が悪化し入院したときの医療費控除例(給付金を申請する場合)
問題②は問題①と逆で、給付金を確定申告で申告する場合について見ていきましょう!
(数字は問題①と同じです。)
1月~6月 :通院 30,000円
7月 :入院 80,000円
7月~12月:通院 30,000円
ほか歯医者など 50,000円
合計 190,000円(支出)
入院給付金 100,000円(収入)
どうでしょうか?
わかりましたか?
答えは・・・110,000円です。
え?申告したんだから、医療費控除対象の医療費は90,000円じゃないの?
先にも述べたとおり、入院給付金は、その給付の対象となった医療費分を控除するだけでいいんです。
今回は、入院給付金の対象となったのは、7月の入院時にかかった80,000円ですので、例え、100,000万円の給付を受けても、その全額控除する必要はありません。
給付金対象の医療費に比べ給付金の方が多かった場合、もったいないのでくれぐれも全額充当しないでくださいね。
このもったいない間違いがすごく多いです。
入院給付金(例の場合10万円)なら、入院分の医療費分だけ(例の場合8万円)充当すればいいんだよね。
そう言えば、前章で、「入院給付金は申告するのとしないのとどちらが得かって言っていたよね?」
問題①と②の答えを見るとわかりますよね。答えは、「どちらも同じ」でした。
じゃあ、次からはちょっと難易度を上げていきますね。
医療費控除【給付金】の問題③
給付金の金額が確定していないとき
大前提として給付金を確定申告で申告する場合で、入院給付金が確定していない場合を見てみましょう。
(数字は問題①と同じです。)
1月~6月 :通院 30,000円
7月~12月:通院 30,000円
12月 :入院 80,000円
ほか歯医者など 50,000円
合計 190,000円(支出)
入院給付金 未定(収入)
どうでしょうか?
わかりましたか?
答えは・・・入院給付金を確定させてから。
え?12月にもらえてないんだから、医療費控除対象の医療費は190,000円じゃないの?
確定申告のときまでに万が一、入院給付金が確定していなければ、見積で金額を算定し、確定申告しなければなりません。
もし、見積もった金額が間違っていたらどうなるの?
見積金額が多すぎた場合は、「修正申告」して、足りなかった所得税を追加で払います。
見積金額が少なすぎた場合は、「更正の請求」(還付の場合は「更正の請求」と言います。)をして、多く払い過ぎた税金を返してもらって下さい。
さあ、どんどんレベルが上がっていきますよ。
医療費控除【給付金】の問題④
年をまたいで入院したとき
大前提として給付金を確定申告で申告する場合で、入院給付金が確定していない場合を見てみましょう。
(数字は問題①と同じです。)
今年の医療費控除の申告はいくらでしょうか?
1月~6月 :通院 30,000円
7月~12月:通院 30,000円
12月~翌年1月:入院 80,000円
ほか歯医者など 50,000円
合計 190,000円(支出)
入院給付金 未定(収入)
どうでしょうか?
わかりましたか?
答えは・・・ケースバイケース。
なに?ケースバイケースって?
病院に支払った金額により変わります。
年をまたいで入院した場合、3通り考えられます。
①12月分を12月に払った場合(12月31日に支払った場合)
12月分を12月に払った場合は、その分の金額を医療費控除の金額にし、給付金も案分して申告します。
②12月分を1月に支払った場合(1月4日に支払った場合)
12月分を翌年の1月1日以降に支払った場合は、翌年の医療費控除の対象になります。
よって、給付金も翌年分の申告になります。
③12月分も翌年の1月分と一緒に支払った場合(翌年の退院時にまとめて支払った場合)
②と同じ対応になります。
医療費控除は払った日を基準に申告します。
例えば、入院以外にも、救急搬送されたりした際の不足金などや、未払金の医療費があった際も、12月までに医療機関に支払った分のみしか申告できません。
翌年1月に支払ったものについては、翌々年の確定申告のときの医療費控除となりますので注意して下さい。
まとめ:医療費控除の適用を受ける場合は、給付金の申告を忘れずに!
それでは、今までのお話をざっとおさらいしていきましょう!
- 入院給付金
- 手術給付金
- 通院給付金
- 疾病(療養)給付金
- 障害保険金(給付金)
- 特定損傷給付金
- がん診断給付金
- 特定疾病(三大疾病)保険金
- 先進医療給付金
- 高度障害保険金(給付金)
- リビング・ニーズ特約保険金 など
給付金支給案内に課税関係の文言が小さく赤字で書いてあったりするので、そちらで確認することをおすすめします。
また、どうしてもわからない場合は、契約している生命保険会社に聞いて下さい。
- その給付の対象になった医療費について医療費控除をする場合は、給付金も申告しなければならない。
- 給付金は、その給付の対象となった医療費分を控除するだけでいい。
- 給付金が確定申告のときまで未確定だった場合は見積って申告する。
- 医療費控除できる金額は、申告しようとする年の12月31日までに支払った金額のみ(給付金はそれに伴い案分した金額のみ)
ちょっとでもわからないことがあったら、税理士や保険会社に聞くことをおすすめします。(国税庁にも電話で問い合わせることができます。)
また、下記本でも詳しく説明しています。
こちらの本は実はちょっと難し目です。
税理士事務所職員もよくこの本を見て、色々と確認しています。
(ちなみに私の愛読書です)
他にも簡単な本はいっぱいありますが、簡単であればあるほど、今日この記事に書いたことは記載されていないか、さらっとお話ししている程度になってしまいます。
わかりやすく書こうと思えば、うわべだけの情報になっちゃうよね。
こちらの本は、ちょっと小難しいですが、その分、細かく丁寧に書かれています。
私は辞書的に使っています。
医療費控除対象になる事例も事細かに書かれているので、とても勉強になります。
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